最終更新日:2022年10月14日 FOS交流会夏London
第三回 夏の交流会 in London (8月) FOS交流会
第三回 夏の交流会 in London (8月) FOS交流会
2015年7月31日(金)から8月3日(月)、ロンドンで第三回FOS交流会を開催しましたので、報告いたします。
今回は一昨年のニューヨーク、昨年のワシントンに続き、3回目の夏の交流会です。アメリカでの開催を原則としていますが、今年は財団創設15年目に当たるのを記念して、ヨーロッパで開催することにいたしました。
開催地は当初パリも候補にしていたのですが、ちょうど企画をはじめた頃にパリでテロ事件などもあったために、安全を期してロンドン開催としました。ただわれわれの財団の奨学生には、オックスフォード、ケンブリッジの学生が何人もいるために、そういった学生にとっては完全な地元開催で、開催地を楽しむことができなかったのは申し訳なかったようにも思います。
現時点で財団がスカラシップ支援をしている学生は40数名いますが、今年はこの内の30名が参加しました。
今年の秋から留学予定で交流会の時点でまだ日本にいる学生については参加を呼びかけていませんので、すでに留学中の学生についてみると、学会等で都合が付かない者を除いては、殆どの学生が参加していることになります。
それだけ交流会に参加することを楽しみにしている学生が多いといえます。学生たちは相互の交流に大きな意義を見出しているようにみえます。30名の学生に、財団関係者3名を加えて、33名の交流会でした。
過去2回の交流会では、ゲストをお招きして、ご講演いただくとともに、交流会の期間を通して学生たちとお付き合いいただきました。一昨年はPurdue大学の根岸英一博士、昨年はCarnegie Mellon大学の金出武雄博士をゲストにお迎えしました。昨年はまたワシントン在住の上野隆司/久能幸子博士のご邸宅Evermayに学生たち全員が招待されました。
今年も具体的な候補の方を考えお願いをしましたが、残念ながら日程の調整がつかず、今年はゲストなしの開催となりました。ゲストがあった方がいいかについて、今回学生の意向を聞きましたが、ゲストはお願いできればあった方がいいという意見が多かったように感じました。
交流会について日程、開催地、ホテル等の外枠は財団の方で決めますが、交流会期間中のスケジュールに付いてはできるだけ学生の人たちに決めてもらうようにしています。
今回の交流会の企画は、Harvard大学の田中秀宣君、Cambridge大学の下 英恵さん、Oxford大学の五十嵐歩美さんを中心に、Georgia工科大学の中村拓磨君、南California大学の長野光希君たちが内容を検討してくれました。
いずれもPh. D. コースの学生です。これらの学生諸君の働きに厚く感謝する次第です。交流会期間中のスケジュールは以下のようです。
7月31日(金)
London Marriott Hotel Kensingtonに各自チェックイン 147c Cromwell Road, Kensington | |
19時 | 顔合わせ夕食会 “ The Atrium Restaurant “(ホテル内レストラン) |
8月1日(土)
10時~17時 | 交流会ミーティング(ホテル内会議室) |
18時30分 | 夕食会 食事場所:Yashin Ocean House 117-119 Old Brompton road South Kensington London SW7 3RN |
8月2日(日)
10時~14時 | グループ別にロンドン見学 |
14時30分 | バレエ鑑賞 Sylvie Guillem : Life in Progress 場所:London Coliseum St Martin’s Lane, London WC2N 4ES |
19時30分 | ディナークルーズ 乗船場所:BATEAUX LONDON(DINNER CRUISE) Embankment Pier Victoria Enbankment London WC2N 6NU |
8月3(月)
朝食後自由解散
以下上記スケジュールのそれぞれについて学生が簡単なまとめをつくってくれたので、それを掲載しておきます。
8月1日午前10時からの講演発表にについて(下 英恵 記)
交流会1日目は奨学生の山本さん、方さん、吉本さんによる講演から始まった。今回は最近博士号を取得された、あるいは、取得間近の方々に講演のお願いをさせていただいた。
山本さんはご自身の研究分野である制振制御の理論から応用的な部分まで、方さんは博士論文のディフェンスや海外でのアカデミア、企業の就職活動について、吉本さんは映像を交えながらご自身の作品制作やビジネス立ち上げへの道のり等について詳細に話して下さり、幅広い話を聞くことができた。
講演中も活発に質疑応答が交わされ、最先端の研究内容、技術および豊富な経験談を知る機会として、たいへん有意義な時間となった。予定時間をオーバーしてしまうほどの熱心な応答だったが、他の奨学生からは身近でかつ刺激的な話が聞けて非常によかったと好評価だった。
益田、注
山本 薫さん:現在、Cambridge大学 Ph. D. 学生、京大工建築卒
専門分野は制御工学
方 弘毅 君:MIT でPh. D. 取得(2015年6月)、東大工航空卒
専門は航空工学、現在Illinois大学Assistant Professor
吉本英樹君:Royal College of Art でPh. D. 取得(2015年7月)、
東大工航空卒
専門は工学のデザインへの応用
現在、Tangent Design and Invention Itd 代表
8月1日午後のミーティング(田中秀宣 記)
午後2時頃から、まず皆でクイズを楽しんだ。
FOS 奨学生間の交流を促進するため、参加者に各自クイズを用意してもらい、班対抗でのクイズ大会を開催した。
作成してもらったクイズは奨学生の幅広い好奇心を反映しており、研究に根付いたものから、開催地であるロンドンに因むものまでとても工夫されていた。各問題を熱心に議論し考えてもらったおかげで本番は大いに盛り上がった。特に、答に納得が出来ない問題については,終了後も皆で大きな輪をつくって議論を続けていた光景は印象的だった。
ミニポスターセッション
前年までの交流会ではメインスピーカーの方や、奨学生を代表する数人の方の口頭発表を拝聴する機会はあっても、全参加者が自分の研究について紹介する機会はなかった。そこで今年、班に分かれて全員が自分の研究に関連した話題をスライド1枚、5分程度で紹介するミニポスターセッションを企画した。
当初、企画の段階では「多忙な参加者の皆様の負担になってしまうのでは?」という懸念があったが、皆スライドを用意していただき楽しい話を共有して下さった。
普段の大学院生活では、自分の研究分野のセミナーに出ることはあっても、異なる分野の発表を聞く機会はあまりない。「深く、しかし時には狭く」専門化して行く大学院生活において、異なった分野の話を聞くことはとても良い刺激になった。また自分の研究を異なった分野の人にどのように伝えるのか、という将来必要になるであろう能力についても考える良い機会になった。
8月2日午前グループ別にロンドン見学、午後バレエ鑑賞(五十嵐歩美 記)
午前中はグループに分かれてバッキンガム宮殿、大英博物館、ナショナルギャラリーなどロンドンを代表する観光名所に赴いた。当日は天候にも恵まれ、絶好の散策日和であった。
午後は、English National Operaにて、100年に一人の天才と称されるバレエダンサー、シルヴィ・ギエムの引退公演を鑑賞した。古典的な枠組みにとらわれない自由な表現を重視する現代的なバレエで、時には地を這うような動き、軽やかに飛び跳ね、自由自在に体を動かすシルヴィの姿が印象的であった。最後の演目が終わった瞬間、会場から拍手喝采が沸き起こり、シルヴィとの別れを惜しむファンの熱気に包まれた。
8月2日夜、ディナークルーズ(長野光希 記)
交流会最終日の8月2日の夜は、テムズ川のBateaux Londonというディナークルーズに出かけた。交流会でディナークルーズに行くのは、一昨年のニューヨーク交流会以来2回目である。
全面ガラス張りの船で、ライブの音楽演奏を聴きながら、3時間ほどかけてテムズ川沿いのビッグベン、タワーブリッジなどの観光名所をまわる。
交流会の主な目的は学生間交流だが、ディナークルーズは交流をしながら、短時間に観光名所も一挙に見学でき、理想的である。夕日に染まるビッグベンに始まり、日が落ちるとタワーブリッジの向こうから昇った満月が水面を煌煌と照らし、何人かの奨学生が「満月だ!」と言ってデッキに飛び出していった。2013年のクルーズ時には、翌年度の交流会ゲストの方とたまたまご一緒するというご縁があった。
来年の予定地、ニューオーリーンズの交流会も楽しみである。